はじめに:Shopifyで卸売・BtoBをやるなら「アプリ設計」が命
Shopify は本来 BtoC(一般消費者向け)EC に強いプラットフォームですが、
- 既存の卸先に対して 「法人専用価格」や「掛け払い」 を提供したい
- 小売店や代理店が SKU を指定して一気に大量発注できる「卸用注文フォーム」 を作りたい
- 1つのストアで BtoC と BtoB を共存 させたい
といったニーズが増えており、BtoB(卸売)まわりのアプリや機能もかなり充実してきました。
2025年時点では、
- Shopify Plus なら「ネイティブ B2B 機能」で価格リストや法人アカウント管理ができ、
- 通常プラン(Basic〜Advanced)でも、B2B アプリを組み合わせれば十分実用的な卸売サイトが構築できます。
この記事では、
- BtoB(卸売)販売で Shopify に必要になる主な機能整理
- Shopify Plus のネイティブ機能でできること
- 通常プランで使える代表的な 卸売価格アプリ&注文フォームアプリ
- あなたのビジネスに合ったアプリの選び方・設計のコツ
を、「価格設定」と「注文フロー」 にフォーカスして解説します。
1. Shopify で BtoB(卸売)販売に必要な機能とは?
まず、BtoC EC との違いを整理すると、BtoB では次のような要件が出てきます。
1-1. BtoB 特有の「価格まわり」の要件
- 取引先ごとに 卸売価格を変えたい
- 例:A 社は 40% OFF、B 社は 30% OFF
- 商品ごと・カテゴリごとに 法人向け専用価格 を持ちたい
- 数量に応じたボリュームディスカウント(例:30個以上でさらに 5% OFF)
- 最低注文数量・最低注文金額 の設定(MOQ / MOV)
- 「税抜表示」「VAT 免除」など、国や法人種別ごとの税表示ルール
1-2. BtoB 特有の「注文フロー」の要件
- SKU や商品コードを指定して 一括入力できる注文フォーム
- 過去のオーダーをもとに リピート注文(Re-order) を簡単にしたい
- カタログのように一覧から数量だけ入力してカート投入したい
- 担当者が「見積もり → 受注 → 請求書発行 → 入金確認」といった業務フローを組みたい
1-3. 支払い・与信まわりの要件
- 掛け払い(Net30 / Net60) や請求書払い(PO)を提供したい
- 法人ごとに支払条件(前払い・後払い)を変えたい
- マーケット別通貨や税の扱いを柔軟にしたい
こうした要件を、
「Shopify Plus のネイティブ機能」 or 「アプリの組み合わせ」で実現していくイメージです。
2. Shopify Plus のネイティブ B2B 機能でできること
まずは、Shopify Plus を利用している/検討している場合に押さえておきたいポイントから。
2-1. Company Profiles(法人アカウント)と価格リスト
Shopify Plus では、「Company Profiles」 と呼ばれる法人単位のプロフィール機能があり、
- 法人ごとの 担当者アカウント(複数ユーザー)
- 取引先ごとの 価格リスト(Price Lists)
- 支払い条件(掛け払い用の Net 条件など)
をまとめて管理できます。
特に Price Lists は、
- 会社別・地域別・セグメント別に複数作成できる
- 「全商品 30% OFF」のような%割引だけでなく、商品ごとの個別価格 も設定可能
という、従来アプリ頼みだった領域をネイティブでカバーできるようになっています。
2-2. B2B チェックアウト(Net 条件・PO 番号など)
Plus の B2B 機能では、
- 掛け払い(Net 30 / 60)などの 支払い条件 を法人ごとに設定
- チェックアウト画面で PO 番号入力欄 を表示
- B2B 専用の配送・支払いオプション
などを用意し、法人向けの「見積 → 発注 → 請求書」フローに近い体験を実現できます。
2-3. こんな場合は Plus の B2B を優先検討
- 既に Shopify Plus を利用している
- BtoB 売上規模が大きく、複数国・複数価格表・複数法人アカウント を一元管理したい
- 「アプリてんこ盛り」ではなく、できるだけネイティブ機能で管理したい
こういったケースでは、サードパーティアプリに頼る前に、
まず Plus 標準の B2B 機能でどこまでいけるかを検証 するのがおすすめです。
3. 通常プランで使える「卸売価格アプリ」主要タイプ
Basic / Shopify / Advanced プラン でも、アプリを組み合わせれば十分に実用レベルの B2B 機能が作れます。ここでは代表的なアプリのタイプと、具体例を紹介します。
3-1. タグベースで卸売価格を表示するタイプ
(例:B2B Wholesale Hub / Wholesale Club 系)
B2B Wholesale Hub(旧 Wholesale Club) は、Shopify の代表的な卸売価格アプリの一つです。
主な機能:
- 顧客にタグ(例:
wholesale,dealer-A)を付けることで、ログイン時にだけ卸売価格を表示 - 顧客グループごとに
- 全体%割引
- 商品・バリアント単位のカスタム価格
を設定可能
- ボリュームディスカウント(数量・金額に応じた段階的割引)
- 最低注文数量・金額(MOQ/MOV) の設定
- 卸売専用のクイックオーダーフォーム(一覧から数量だけ入れてカートイン)
- Net 条件など簡易的な掛け払い設定
メリット
- 別ストアを作らず、1つの Shopify ストアで BtoC と BtoB を共存できる
- 導入実績が多く、日本語の解説記事やサポート事例も豊富
向いているケース
- 既存の EC ストアに「卸売レイヤー」を足したい
- 顧客ごとに割引率を変えたいが、そこまで複雑な与信・請求管理は不要
- まずはシンプルな卸売価格設定から始めたい
3-2. 多機能な B2B オールインワン系
(例:BSS B2B & Wholesale Solution / Wholesale Pricing Discount)
より 本格的に B2B 運用 をしたい場合は、オールインワン系のアプリが候補になります。
BSS B2B & Wholesale Solution
ベトナムの BSS Commerce が提供する B2B アプリで、価格設定〜注文制限〜登録フォームまでを一括でカバーするタイプです。
主な機能:
- 顧客グループごとのカスタム価格・価格表
- ボリュームディスカウント、段階別卸価格
- 卸売登録フォーム(承認制アカウント発行)
- 最低/最大注文数量、1商品ごとの数量ステップ
- VAT 表示制御、税抜/税込表示
- Shopify POS や Markets との連携
小〜中規模の B2B から、かなり大きめまでスケール可能な設計になっています。
Wholesale Pricing Discount B2B
Wholesale Pricing Discount(WPD) も、有名な B2B 価格設定アプリです。
特徴:
- 顧客グループごとに、%・定額ディスカウント・段階別価格を設定
- 卸売と小売を 1ストアで両立 しつつ、卸売専用の配送・送料設定も可能
- 掛け払い(Net テルム)、VAT 制御、マルチカレンシー対応
- 卸売サインアップフォームと連携したフローを構築可能
向いているケース
- BtoB 売上比率が高く、価格レイヤーが多い
- 海外法人・複数市場向けに税制や通貨を細かく制御したい
- POS も含めて卸売価格を統一したい
3-3. シンプル&無料でスタートしたい場合
(例:Ymq B2B & Wholesale Solution / Wholesale Price & B2B Solution)
Ymq B2B & Wholesale Solution
日本語の比較記事でも「まず試しやすい無料アプリ」としてよく挙げられるのが Ymq B2B & Wholesale Solution です。
- 定額・割合による卸売割引
- 最低注文数量・金額の設定
- 顧客タグと組み合わせて、特定の法人だけに卸価格を表示
- 数量割引でまとめ買いを促進
シンプルながら、B2B の基本ニーズ(価格・MOQ・数量割引)をカバーしており、コストゼロで試せるのが魅力です。
Wholesale Price & B2B Solution / B2B Wholesale Tools
同じく「卸売価格のコントロール」に特化したアプリとして、
- Wholesale Price & B2B Solution(コレクション・商品・顧客ごとのカスタム価格、段階別割引)
- B2B Wholesale Tools(顧客グループ単位の価格リストを無制限に作成し、自動で価格更新)
などもあります。
向いているケース
- 予算を抑えつつ、まずは「卸価格+MOQ+数量割引」だけ実装したい
- BtoB 売上はまだテスト段階で、将来的に Plus や別アプリに乗り換える可能性がある
4. 卸売向け「注文フォーム」アプリで BtoB の UX を上げる
価格設定に加えて、BtoB では 「注文しやすさ(UX)」 が非常に重要です。1品ずつ商品ページを回ってカートに入れて…という BtoC 的フローだと、法人バイヤーはすぐ離脱してしまいます。
そこで使いたいのが、クイックオーダー / 卸売用注文フォーム系アプリです。
4-1. SKU 一括入力・CSV アップロード系
(例:Quick Order Pro / B2B Bulk Order・CSV Upload)
Quick Order Pro – B2B Bulk Order Form
Quick Order Pro は、SKU を一括入力してまとめてカートに入れられる B2B 向け注文フォームアプリです。
- SKU/品番を連続で入力 → 数量指定 → 一括カート投入
- 特定顧客向けの「卸専用注文ページ」を作成
- 大量発注・リピート発注に最適
B2B Bulk Order / CSV Upload
B2B Bulk Order / CSV Upload では、
- SKU を Excel からコピペ or CSV アップロードで一括注文
- UPC コード検索にも対応し、カタログ商品数が多いショップ向け
向いているケース
- 取引先が毎回「自社の発注フォーマット(CSV)」でオーダーしてくる
- SKU ベースで大量注文される業種(アパレル、小売向け卸、パーツ販売など)
4-2. 一覧表形式のシングルページ注文フォーム
(例:Easy:Wholesale Bulk Order Form / WSH Order Form & ReOrder)
Easy:Wholesale Bulk Order Form
Easy:Wholesale Bulk Order Form は、
- 商品一覧に数量入力欄を付けて、1ページで大量の商品を一気にカートインできるアプリです。
- 長いカタログでも、固定サマリーバーで注文内容を確認しながら発注可能
WSH Order Form & ReOrder
WSH Order Form & ReOrder も、1ページで注文+リピート注文を完結させるアプリ。
- 過去注文の商品リストから「数量だけ変えて再注文」
- 卸売・リピート顧客の UX を大きく改善
向いているケース
- 「卸先が毎回似たような SKU をまとめ買いする」パターンが多い
- BtoC と同じ商品構成だが、卸先にはもっと早く注文してもらいたい
4-3. 卸売価格アプリとの組み合わせ方
多くの注文フォームアプリは、
- B2B Wholesale Hub(旧 Wholesale Club)
- Wholesale Pricing Discount
- BSS B2B Solution
などの価格アプリと連携して動作するよう設計されています。
そのため、
- まず「価格ルール」を B2B 価格アプリで構築
- その後「注文フォーム」アプリを入れて、
- 卸先はログインすると自動で卸価格が適用された一覧から注文できる
という二段構えにすると、体験がきれいに繋がります。
5. 自社に合った B2B アプリ選定のポイント
最後に、「どのアプリを選べばいいの?」というときの観点を整理します。
5-1. まずは「価格レイヤーの複雑さ」で分ける
- 単純なケース
- 卸先は数社
- 「小売価格の 60%」のように一律割引で問題ない
→ 無料〜ライトなアプリ(Ymq / Wholesale Price & B2B Solution など)から始める
- 中〜複雑なケース
- 卸先が多い/ランクが多い(ブロンズ・シルバー・ゴールドなど)
- 商品やカテゴリごとに価格が違う
- 最低注文数・数量割引・国別税制なども絡む
→ B2B Wholesale Hub、BSS B2B Solution、Wholesale Pricing Discount などの多機能アプリを検討
- 超複雑&多国籍
- 年商規模も大きく、BtoB が事業の柱
- グローバル×複数通貨×複数法人×複雑な Net 条件
→ Shopify Plus の B2B 機能を前提に検討
5-2. 注文スタイルに合わせて「注文フォーム」を選ぶ
- SKU ベースで発注される → Quick Order Pro / B2B Bulk Order / CSV Upload 系
- カタログを見ながら数量を打ちたい → Easy:Wholesale Bulk Order Form / WSH Order Form & ReOrder 系
- 過去注文からワンクリックでリピート → Re-order 機能付きアプリを優先
5-3. 「将来 Shopify Plus に上げるか」も視野に入れる
将来的に Shopify Plus に移行する可能性が高い場合は、
- B2B の根幹ロジック(価格・法人アカウント)は Plus の仕様に寄せつつ
- 現段階ではアプリで補う
という考え方もアリです。
例えば、
- 顧客タグ=将来の「Company」や「価格リスト」の代替 として使う
- 「法人名」「部署」「請求先情報」などを顧客属性にしっかり持たせる
など、Plus 移行時にマイグレーションしやすい設計を意識しておくと、後で楽になります。
まとめ:価格ルール+注文フローをセットで設計するのが成功の近道
Shopify で BtoB(卸売)販売を本格運用するには、
- 価格まわり
- 顧客グループごとの卸売価格
- ボリュームディスカウント
- MOQ / MOV、税表示ルール、Net 条件
- 注文フロー
- 卸先が迷わず使える注文フォーム
- SKU 一括入力や CSV アップロード
- リピート注文のしやすさ
この 「価格ルール」と「注文 UX」 の 2 本柱を、ストアのビジネスモデルに合わせて組み合わせていくことがポイントです。
- Shopify Plus を使えるなら → まずネイティブ B2B 機能(Company Profiles・Price Lists・Net 条件)を検討
- 通常プランなら →
- B2B Wholesale Hub / BSS B2B Solution / Wholesale Pricing Discount などで卸売価格を実装
- Quick Order Pro や Easy:Wholesale Bulk Order Form などで注文フォームを強化
という流れで設計すると、無理なくスケールできる構成になりやすいです。
もし「自社のケースだとどの組み合わせが良さそうか?」といった相談があれば、
- 取引先数
- 価格レイヤーの複雑さ
- 想定月商や将来 Plus を検討しているかどうか
などを教えてもらえれば、より具体的なアプリ構成案も一緒に組んでいきます。























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