メール成果を左右するセグメント設計の考え方
Adobe Campaign Standard(ACS)の運用において、多くの担当者が最初に誤解するポイントがあります。
それは、
「良いメールを作れば成果が出る」
という考え方です。
実際には、
成果 = 誰に × 何を × いつ届けるか
で決まります。
つまり、
メール本文よりも
配信対象の設計
の方が重要なのです。
本章では、ACSのAudiences(オーディエンス)機能について、基本操作だけでなく、成果を出すためのセグメント設計の考え方まで詳しく解説します。
Audiencesとは何か?
Audiencesとは、
配信対象として抽出された顧客グループ
です。
前章で解説したProfilesから条件に合致する顧客を抽出し、配信対象として利用します。
イメージとしては、
Profiles = 顧客データベース
Audiences = 配信リスト
です。
具体例
全会員
100万人
↓
女性会員
50万人
↓
購入者
20万人
↓
VIP会員
3万人
↓
Audience作成
という流れになります。
なぜAudience設計が重要なのか?
同じメールでも、
送る相手によって成果が大きく変わります。
例えば化粧品ECの場合
パターン①
全会員
100万人
に送信
開封率
18%
CTR
1.8%
パターン②
過去60日以内購入者
20万人
に送信
開封率
35%
CTR
6.5%
メール内容は同じでも結果が大きく変わります。
つまり、
メール改善より
ターゲティング改善
の方がインパクトが大きいケースが多いのです。
Audience作成画面を開く
ACS左メニュー
Audiences
↓
Create
を選択します。
ここから新しいAudienceを作成できます。
Audienceの種類
ACSには複数のAudience作成方法があります。
List Audience
固定リスト
例
展示会参加者
イベント参加者
VIP顧客
Query Audience
条件抽出型
例
東京都在住
かつ
女性
かつ
購入履歴あり
実務ではQuery Audienceを最も利用します。
Query Audienceの考え方
実際の業務では、
「条件を組み合わせて顧客を抽出する」
ことになります。
例
女性
AND
20代
AND
東京都
AND
購入履歴あり
該当者のみ抽出
Audience作成の基本手順
① Audience作成
↓
② Query設定
↓
③ 条件指定
↓
④ 件数確認
↓
⑤ 保存
この流れが基本になります。
実務でよく使う条件
まずは代表的な条件から見ていきましょう。
属性条件
最も基本的なセグメントです。
性別
女性
男性
その他
活用例
女性向け商品案内
年齢
20代
30代
40代
50代
活用例
年代別商品提案
地域
東京都
神奈川県
大阪府
など
活用例
地域限定イベント
行動条件
マーケティング成果に最も影響します。
メール開封
過去30日以内開封
活用例
反応の高い顧客への再配信
メールクリック
過去30日以内クリック
活用例
興味関心の高い顧客抽出
未開封者
過去5配信未開封
活用例
休眠化予兆分析
購買条件
EC事業で最重要です。
購入回数
1回
2回
5回以上
など
購入金額
累計1万円以上
累計10万円以上
など
最終購入日
30日以内
90日以内
180日以上前
など
実務で最も使われるセグメント
ここからは実際の現場で頻繁に利用されるAudienceを紹介します。
新規顧客
登録から30日以内
購入回数1回
活用施策
Welcomeメール
商品紹介
レビュー依頼
リピーター
購入回数3回以上
活用施策
定期購入提案
アップセル
クロスセル
VIP顧客
購入金額上位10%
活用施策
限定セール
先行販売
特別クーポン
休眠顧客
最終購入から90日以上経過
活用施策
再購入キャンペーン
復活クーポン
アンケート
Audience設計の失敗例
初心者が陥りやすい失敗です。
セグメントが広すぎる
例
全会員
問題
興味がバラバラ
反応率低下
セグメントが細かすぎる
例
東京都
30代
女性
購入回数3回以上
累計金額5万円以上
メール開封者
商品A購入者
結果
対象者10人
施策として成立しない
セグメント設計の黄金ルール
実務では以下の順番で考えると失敗しません。
① 顧客属性
↓
② 購買履歴
↓
③ 行動履歴
↓
④ エンゲージメント
この順番で絞り込んでいきます。
RFM分析との関係
ACS運用ではRFM分析がよく利用されます。
Recency
最終購入日
Frequency
購入回数
Monetary
購入金額
例
最近購入
×
購入回数多い
×
購入金額高い
↓
VIP候補
ECサイトでよくあるAudience設計
例として化粧品ECを考えてみます。
UVケア商品
対象
20代女性
↓
過去30日訪問
↓
UVカテゴリ閲覧
↓
未購入
非常に高い成果が期待できます。
定期購入促進
対象
単品購入者
↓
購入から25日経過
↓
定期購入未契約
定期コース提案
教育サービスでのAudience例
資料請求者
↓
説明会未予約
↓
登録後7日以内
説明会誘導メール
説明会参加者
↓
未契約
↓
14日以内
個別相談案内
Audienceの更新方法
Audienceは一度作って終わりではありません。
定期的な見直しが必要です。
確認ポイント
- 件数推移
- CVR推移
- 開封率
- CTR
成果が落ちてきたら
条件を見直します。
Audience設計で成果を出す企業の特徴
優秀な企業ほど
メール制作に時間を使わず
Audience設計に時間を使います。
実際の工数イメージ
セグメント設計
50%
メール企画
20%
デザイン
20%
分析
10%
というケースも珍しくありません。
よくある質問
AudienceとProfileの違いは?
Profile
顧客情報そのもの
Audience
顧客を抽出した結果
です。
Audienceはいくつ作るべき?
正解はありません。
ただし、
目的別
施策別
顧客ステージ別
に管理すると運用しやすくなります。
Audience命名ルール例
運用規模が大きくなると重要です。
例
EC_女性_購入者_30日以内
EC_VIP_累計10万以上
EC_休眠_90日以上未購入
誰が見ても分かる命名を推奨します。
まとめ
AudienceはACS運用における最重要機能の一つです。
成果を出すためには、
「どんなメールを送るか」
ではなく、
「誰に送るか」
を先に考える必要があります。
優れたAudience設計ができれば、
開封率
クリック率
売上
すべてを改善できます。
実務ではまず、
・新規顧客
・リピーター
・VIP顧客
・休眠顧客
の4セグメントから始めるのがおすすめです。
次章では、いよいよACSの中核機能である「メール配信作成(Email Delivery)」について詳しく解説します。
件名設定、差出人設定、パーソナライズ、HTMLメール作成まで、実際の配信業務を想定しながら解説していきます。

























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