使用前後の写真は、すべて禁止でも、実際の写真なら自由に使えるものでもありません。化粧品や医薬部外品等の広告では、認められた効能の範囲を超えたり、効果・安全性を保証する表現になったりしないかを確認します。厚生労働省のQ&Aにある事例を、制作判断に使うための観点として整理します。
商品広告と医療機関の症例写真を区別する
このページは化粧品等の商品広告における使用前後の表現を扱います。歯科や美容医療の治療写真には医療広告の別の条件があるため、同じ基準で判断しないでください。商品区分、承認内容、使用目的を確定してから、写真で何を伝えるかを決めます。
写真に写る変化と認められた効能を対応させる
2018年の厚生労働省Q&Aでは、染毛による色の対比、洗浄前後の汚れ、乾燥した角層と保湿後の角層の図などを個別に示しています。これはどんな画像も許されるという意味ではありません。撮影条件や併記する文言を含めて、対象商品の範囲外の効果、即効性、持続時間、安全性の保証にならないかを判断します。
予防を前後写真で証明しようとしない
薬用化粧品に「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」効能が認められていても、同Q&Aでは、シミの目立たない肌の比較で予防を表す事例を認めていません。ひび・あかぎれを防ぐ効能についての写真比較も同様です。承認された言葉があることと、その効能を前後写真で適切に表せることは分けて考えます。
治癒と緩和を一括して扱わない
医薬品について同Q&Aは、承認された効能の内容に応じて判断を分けています。治癒・完治の効能を持つ製品でも、効果が出る時間や持続、安全性を保証する表現は避けなければなりません。「緩和」の効能しかないのに完治したように見せる表現は範囲を超えます。この医薬品の例を、一般の化粧品が治療効果を表示できる根拠に流用しないでください。
別部位やイラストも広告全体で判断される
同じ人の前後写真ではなくても、悪い印象とよい印象の図を並べて商品効果と結び付ければ、広告基準上問題になる場合があります。「イメージ」「個人差があります」の注記だけで解決するものではありません。顔の輪郭、肌の色、シミ、しわを加工して商品効果を大きく見せたり、照明の差で変化を作ったりしないようにします。
保湿や小ジワの説明を拡大しない
角層の保湿を示す図から、肌内部の再生や若返りまで連想させないようにします。乾燥による小ジワを目立たなくする効能を使う場合も、製品ごとの試験等による確認と表現条件を照合します。深いしわの消失や万能な改善へ言い換えず、図の部位、説明文と商品資料が同じ範囲を指すようにそろえてください。
撮影前に構成案と証拠の保存を決める
完成画像だけを最後に審査すると、表現の修正に再撮影が必要になることがあります。構成案の段階で、商品区分、表したい変化、根拠、比較条件、併記文言を確認しましょう。実撮影では元画像、使用条件、加工内容と承認履歴を保存します。写真が真実であっても、広告としての適否は別途判断が必要です。
スマートフォンと二次利用先まで確認する
公開時は画像単体で意味が独り歩きしないかを確認します。SNSの切り抜き、広告バナー、サムネイル、動画の短い字幕で、条件や説明が消えると印象が変わります。商品ページで承認した画像を別媒体へ転用するときも、トリミングや見出しを含む状態で再確認してください。
公式Q&Aの事例を制作に使う際の観点
| 表現の例 | 判断の出発点 | 追加の確認 |
|---|---|---|
| 染毛の色の対比 | 原則差し支えないとされる例 | 対象製品の範囲と撮影条件 |
| 洗浄前後・角層の保湿図 | 原則差し支えないとされる例 | 治療や若返りを暗示しない |
| シャンプー後の頭皮写真 | 原則差し支えないとされる例 | 化粧品の効能範囲を超えない |
| 承認された制汗効能の写真 | 原則差し支えないとされる例 | 該当効能が認められた製品か |
| シミやひびの予防を写真比較で示す | Q&Aでは認められない例 | 別の写真や小さい注記への置換で済ませない |
導入前の確認事項
- 承認効能と画像が示す変化を一対一で対応させる
- 予防効果を写真の変化で証明する構成にしない
- 注記だけで効能範囲外の画像を残さない
- 元画像、比較条件、資料、確認者と公開版を保存する
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