Shopifyの送料設定の基本構造
ECサイト運営において、送料設定は利益に直結する重要な項目ですが、その複雑さから多くの初心者がつまずくポイントでもあります。Shopifyでは、この複雑な送料設定を、3つの基本要素を組み合わせることで、柔軟かつ論理的に行えるようになっています。
配送エリア(ゾーン)の設定
送料設定の最初のステップは、商品を配送する国や地域をグループ化する「配送エリア(ゾーン)」の作成です。例えば、「国内配送」というゾーンの中に日本の47都道府県をすべて含めたり、「北海道」「沖縄・離島」「その他の都府県」のように、送料が異なる地域でゾーンを分割したりします。
配送プロファイルとは?
「配送プロファイル」とは、特定の商品群に対する送料ルールをまとめたものです。例えば、「通常商品用プロファイル」とは別に、特別な送料が必要な「冷蔵便用プロファイル」や「大型家具用プロファイル」を作成し、商品ごとに異なる送料ルールを適用できます。ほとんどの場合、一つの「一般配送」プロファイルで運用を開始できます。
一般的な送料設定の種類
Shopifyでは、主に以下のような送料設定が可能です。これらを配送エリアごとに組み合わせることで、自社の戦略に合った柔軟な料金体系を構築できます。
- 全国一律送料:地域に関わらず、送料を一律に設定。
- 地域別の固定送料:配送エリア(ゾーン)ごとに、異なる送料を設定。
- 購入金額別の送料無料:〇〇円以上の購入で送料を無料にする。
- 重量課金制送料:商品の総重量に応じて、送料を変動させる。
よくある送料設定の具体例
ここでは、日本のECサイトでよく利用される3つの代表的な送料設定について、Shopifyの管理画面でどのように設定するのか、具体的な手順のイメージを解説します。
全国一律送料の設定方法
最もシンプルな設定です。「国内」という配送エリアを作成し、その中に「送料」を追加します。「配送料金」の項目に、設定したい一律の金額(例:800円)を入力するだけで完了です。シンプルで分かりやすく、多くのストアで採用されています。
地域別(北海道・沖縄など)
送料が高くなる特定の地域だけ、別料金を設定したい場合の設定です。まず「北海道」というゾーンと「沖縄県」というゾーンを個別に作成します。そして、それぞれのゾーンに対して、個別の送料(例:北海道1,500円、沖縄2,000円)を設定します。それ以外の地域は「国内」ゾーンとして、基本の送料を設定します。
〇円以上で送料無料にする方法
送料無料は、顧客の購入単価を上げる強力なインセンティブになります。設定は簡単で、送料を追加する際に「条件を追加」をクリックします。「条件の基準」を「注文の金額」に設定し、送料無料にしたい最低金額(例:10,000円)を入力。最後に、配送料金を「0円」にすれば設定完了です。
Shopify Shippingで業務を効率化
送料設定が完了したら、次は日々の発送業務です。Shopifyには、この発送業務を劇的に効率化する「Shopify Shipping」という機能が標準で備わっています。
Shopify Shippingとは?
Shopify Shippingは、Shopifyが大手配送会社と提携し、割引運賃や便利な機能を提供するサービスです。重要なのは、Shopifyが荷物を配送するわけではない、という点です。あくまで、Shopifyの管理画面上で、提携する配送会社の発送サービスを簡単に利用できる、という仕組みです。
割引運賃でのラベル購入
Shopify Shippingを利用する最大のメリットは、提携配送会社(日本では主にヤマト運輸や日本郵便)の配送料金を、割引価格で利用できる点です。事業者は、Shopifyの管理画面から直接、宛名情報がすでに入力された状態の配送ラベルを購入・印刷できます。これにより、コスト削減と手書き作業の手間の削減が両立できます。
追跡番号の自動通知
Shopify Shippingで配送ラベルを発行すると、その荷物の追跡番号が自動で注文情報に紐付けられます。そして、お客様へ発送通知メールを送る際に、その追跡番号と荷物追跡ページへのリンクが自動で記載されます。これにより、お客様はいつでも自分の荷物の状況を確認でき、安心感に繋がります。
まとめ
EC運営における「配送」という複雑な課題に対し、Shopifyは2つの強力なソリューションを提供しています。一つは、あらゆる送料体系に対応できる、柔軟な「送料設定」機能。もう一つは、日々の発送業務を劇的に効率化し、コストも削減する「Shopify Shipping」です。これらを使いこなすことで、事業者は配送に関する悩みから解放され、より創造的な業務に集中することができます。まずはご自身のストアの送料体系を決め、設定画面から第一歩を踏み出してみましょう。























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