スタッフアカウントの重要性
ECサイトの事業が成長し、一人での運営に限界を感じ始めると、従業員や業務委託パートナーといったチームメンバーの力が必要になります。Shopifyの「スタッフアカウント」機能は、複数人で安全かつ効率的にストアを運営するための、不可欠な機能です。
なぜオーナーアカウント共有は危険か
絶対に避けるべきなのが、オーナー(所有者)のアカウント情報をチームメンバーと共有することです。これは、ストアの請求情報や銀行口座といった最重要情報へのアクセスを許すことになり、セキュリティ上のリスクが極めて高くなります。また、誰がどの操作を行ったのか履歴が追えず、責任の所在が不明確になります。
プラン別に追加できる人数
追加できるスタッフアカウントの数は、契約しているShopifyの料金プランによって異なります。
- ベーシック:2名
- スタンダード:5名
- プレミアム:15名
事業の規模やチームの人数に合わせて、適切なプランを選択する必要があります。
スタッフとコラボレーターの違い
スタッフアカウントとは別に、「コラボレーター」というアカウント種別も存在します。これは、ストア構築を依頼する制作会社やフリーランスなどの外部パートナー向けのアカウントです。パートナー側からアクセスをリクエストしてもらい、事業者が承認する形で利用します。コラボレーターアカウントは、上記プランの人数制限にはカウントされません。
スタッフアカウントの追加手順
新しいチームメンバーをストアの管理に招待する手順は、非常に簡単です。数分あれば、安全な共同作業環境を整えることができます。
「ユーザーと権限」設定へ移動
まず、Shopify管理画面の左下にある歯車マークの「設定」をクリックします。次に、表示されたメニューの中から「ユーザーと権限」を選択してください。ここが、ストアにアクセスできる全ユーザーを管理する場所です。
「スタッフを追加」と招待
「ユーザーと権限」画面の右上にある、緑色の「スタッフを追加」ボタンをクリックします。追加したいメンバーの氏名とメールアドレスを入力する画面が表示されるので、正確に入力します。この後、次のセクションで解説する「権限」を設定し、「招待を送信する」をクリックします。
招待メールの承認
招待を送信すると、入力したメールアドレス宛にShopifyから招待メールが届きます。招待されたメンバーが、そのメール内の指示に従ってアカウントを作成し、承認すれば、プロセスは完了です。次回以降、そのメンバーは自身のメールアドレスとパスワードで、ストアの管理画面にログインできるようになります。
「権限」を正しく設定する
スタッフアカウント機能で最も重要なのが、この「権限」設定です。メンバーの役割に応じて、アクセスできる管理画面の範囲を細かく制限することで、セキュリティと業務効率を両立させます。
権限設定の基本
スタッフを追加する際、管理画面の全メニュー項目が一覧で表示され、それぞれにチェックボックスが付いています。このチェックボックスにチェックを入れた項目だけに、そのスタッフはアクセスできるようになります。原則として、担当業務に最低限必要な権限のみを付与するのが、安全なストア運営の基本です。
業務内容に合わせた権限付与
すべての権限を付与してしまうと、オーナーアカウントを共有するのと危険性は変わりません。例えば、ブログ記事の更新担当者に、注文情報や売上データへのアクセス権限は不要です。役割に応じて、権限を慎重に割り振りましょう。
アクセス権限の具体例
具体的な業務内容に応じた権限設定の例をいくつかご紹介します。
- 受注・発送担当者:主に「注文管理」「商品管理」にチェックを入れます。売上レポートやデザイン編集の権限は不要です。
- Webデザイナー・ブログ担当者:主に「オンラインストア」(テーマ編集やブログ投稿)にチェック。顧客情報や注文情報へのアクセスは制限します。
- 経理担当者:「分析」や「設定」内の請求情報へのアクセス権限を付与します。
まとめ
ビジネスの成長に伴いチームでストアを運営する際、Shopifyのスタッフアカウント機能は、安全で効率的な基盤を提供してくれます。その核心は、「役割に応じた、最低限の権限設定」にあります。オーナーのアカウント情報を共有するのではなく、必ずスタッフごとにアカウントを発行し、それぞれの業務範囲に合わせてアクセス権を適切に管理してください。この習慣が、あなたのストアという大切な資産を、人的なミスやリスクから守ることに繋がります。
























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