競合のSNS活用術を分析:人気投稿から学ぶエンゲージメントの高め方
「毎日投稿しているのに、いいねやコメントが全然増えない…」
「競合のアカウントは、いつもコメント欄が盛り上がっていて羨ましい…」
「人気投稿を参考にしたいけど、なぜバズったのかが分からない…」
企業のSNS担当者様なら、一度はこんな壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。リソースが限られる中で成果を出すには、がむしゃらに投稿を続けるだけでは限界があります。成功への近道は、すでに成功している競合アカウントの「勝ちパターン」を分析し、自社のアカウント運用に活かすことです。
この記事では、競合の人気投稿を科学的に分析し、再現性の高い打ち手を見つけ出すための具体的なフレームワークを解説します。感覚的な「なんとなく」の分析から卒業し、データに基づいた戦略で、ユーザーから愛されるアカウントを育てていきましょう。
そもそも、なぜSNSの「エンゲージメント」が重要なのか?
フォロワー数も大切な指標ですが、それ以上に重視すべきが「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは、いいね、コメント、シェア、保存といった、ユーザーからの具体的な反応を指します。
- アルゴリズムに評価され、投稿が届きやすくなる:InstagramやX(旧Twitter)などのSNSは、エンゲージメントの高い投稿を「質の高いコンテンツ」と判断し、より多くのユーザーに表示させる傾向があります(これを「アルゴリズムの最適化」と呼びます)。
- ファンの熱量を可視化できる:エンゲージメントは、フォロワーがどれだけ自社のブランドや商品に熱中しているかを示す「熱量」のバロメーターです。
- UGC創出や顧客ロイヤルティ向上に繋がる:高いエンゲージメントは、UGC(ユーザーによって作られた口コミなどのコンテンツ)の創出を促し、最終的にはブランドへの信頼や愛着(顧客ロイヤルティ)を高めます。
つまり、エンゲージメントを高めることは、単に投稿の反応を良くするだけでなく、SNSアカウント全体の成長とビジネスへの貢献に直結するのです。
競合の人気投稿を分析する「5つの分解ステップ」
「競合分析が重要だとは分かっているけど、どこから手をつければいいの?」という方のために、誰でも実践できる分析フレームワークを5つのステップでご紹介します。
ステップ1:分析対象の競合アカウントを選定する
まずは、ベンチマーク(目標とする指標)となる競合アカウントを3〜5つ選定します。闇雲に選ぶのではなく、以下の基準で選ぶのがおすすめです。
- 直接競合:自社と同じ商品・サービスを同じターゲットに提供している企業。
- 間接競合:扱っている商品は違うが、ターゲット層が同じで顧客を奪い合っている企業。(例:コーヒーメーカーにとっての紅茶メーカー)
- お手本アカウント:業界は全く違うが、SNS運用が非常にうまく、自社のターゲット層から支持されている企業。
Point:自社より少しフォロワー数が多いアカウント(1.5〜2倍程度)を参考にすると、現実的な目標設定がしやすくなります。
ステップ2:エンゲージメントの高い「人気投稿」を特定する
選定したアカウントの中から、特にエンゲージメントの高い「人気投稿」を直近3ヶ月〜半年分、5〜10投稿ほどリストアップします。単純な「いいね」の数だけでなく、「コメント」「保存」「シェア」の数にも注目しましょう。
- 手動でチェック:各投稿の反応を目で見て、スプレッドシートなどに記録していく地道な方法です。無料で始められます。
- SNS分析ツールを活用:ツールを使えば、競合アカウントの投稿をエンゲージメント率順に並べ替えるなど、効率的に人気投稿を特定できます。
ステップ3:人気投稿の「型」を4つの要素で分解する
ここが分析の核となる部分です。特定した人気投稿が「なぜユーザーの心を動かしたのか」を、以下の4つの要素に分解して言語化していきます。
- コンセプト(誰に、何を伝えたいか):この投稿は、どんな悩みを抱えるターゲットに、何を伝えて解決・共感しようとしているのか?(例:知識提供、お悩み解決、エンタメ、ユーザーへの共感)
- クリエイティブ(どう見せているか):視覚的にどんな工夫があるか?(例:写真の構図や色味、動画のテンポやBGM、テキストのフォントやデザイン)
- コピーライティング(どう語っているか):ユーザーの指を止め、心を動かす言葉の工夫は何か?(例:冒頭の掴み、本文の構成、絵文字の使い方、ハッシュタグの選定、行動喚起の言葉)
- コミュニケーション(どう巻き込んでいるか):一方的な発信で終わらず、ユーザーを巻き込む仕掛けはあるか?(例:質問を投げかける、コメントへの丁寧な返信、参加型のキャンペーン企画)
ステップ4:共通の「成功法則」を抽出する
分解した複数の人気投稿を見比べ、共通点や繰り返し使われているパターンを探します。これが、そのアカウントの「成功法則」です。
(例)
「A社の人気投稿は、必ず冒頭で『〜な人、他にいませんか?』と問いかけ、ユーザーの共感を誘っている」
「B社のリール動画は、必ず3秒以内に商品の使用感がわかるシーンを入れて、視聴者の離脱を防いでいる」
ステップ5:自社アカウントに「応用・転用」する
抽出した成功法則を、そのまま真似するのではなく、自社の強みやブランドの世界観に合わせてアレンジして、自社の投稿企画に落とし込みます。重要なのは「丸パクリ」ではなく「応用」です。A社の成功法則が、必ずしも自社で成功するとは限りません。仮説を立て、テストする姿勢が大切です。
【プラットフォーム別】人気投稿の分析ポイントと事例
SNSはプラットフォームごとに文化やユーザー層が異なります。それぞれの特徴に合わせた分析ポイントを見ていきましょう。
Instagram:世界観と「保存したくなる」情報量が鍵
ビジュアル重視のInstagramでは、統一された世界観が重要です。また、後で見返したくなるような有益な情報は「保存」されやすく、アルゴリズム上の評価も高まります。
- リール:トレンドの音源やエフェクトをどう活用しているか?冒頭2秒の掴みは何か?
- フィード(カルーセル):どんな構成で情報をまとめているか?(例:表紙→結論→詳細→まとめ)表紙のタイトルでどう興味を引いているか? – ストーリーズ:アンケートや質問機能を使って、どうフォロワーと交流しているか?
X(旧Twitter):リアルタイム性と「共感」が拡散を生む
情報の拡散スピードが速いXでは、リアルタイム性やユーザーの共感を呼ぶ投稿が伸びやすい傾向にあります。
- ポストの型:どんな形式のポストが伸びているか?(例:箇条書きのノウハウ、ユーモアを交えた失敗談、時事ネタへの意見)
- リプライ欄の活用:投稿へのリプライ(返信)で、どのようにユーザーと対話し、盛り上がりを作っているか?
- キャンペーン:フォロー&リポストキャンペーンなどで、どのように参加意欲を高めているか?
競合SNS分析を効率化するおすすめツール3選
手動での分析には限界があります。ここでは、競合分析を効率化し、より深いインサイトを得るための代表的なツールをいくつかご紹介します。
- Social Insight(ソーシャルインサイト):X, Instagram, Facebookなど主要SNSに幅広く対応。競合アカウントのフォロワー増減やエンゲージメントの高い投稿を簡単に分析できます。
- SINIS(サイニス):Instagramの分析に特化したツール。競合の人気投稿やハッシュタグ分析など、Instagram運用に必要な機能が充実しています。無料プランから始められるのも魅力です。
- 各SNSの公式インサイト機能:自社アカウントの分析にはなりますが、どのような投稿がフォロワーに響いているのかを知る基本となります。まずはここから見ていくのも良いでしょう。
まとめ:分析の先にある「実行と検証」こそが最も重要
競合の人気投稿は、SNS運用のヒントが詰まった最高の教科書です。今回ご紹介した5つのステップで分析を行えば、これまで見えていなかった成功の法則が必ず見つかるはずです。
しかし、最も重要なのは「分析して終わり」にしないことです。
【分析 → 仮説 → 実行 → 検証】
このサイクルを回し続けることで、あなたのアカウントは着実に成長していきます。まずは第一歩として、ベンチマークする競合アカウントを3つ選び、その人気投稿をリストアップすることから始めてみませんか?
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