競合分析でまず見るべき3つのポイント
ECサイトやブログ運営において、競合の動向を把握することは、闇雲に船を漕ぐのではなく、海図を広げて目的地へ向かうようなものです。しかし、多機能な分析ツールは高価なものが多く、どこから手をつけていいか分からない方も多いでしょう。
ご安心ください。無料で使えて、かつ非常に強力な競合分析ツールはたくさんあります。この記事では、特に代表的な「SEOチェキ!」と「SimilarWeb」の具体的な活用法を中心に、明日からのサイト運営に役立つ無料ツールを5つ厳選してご紹介します。
ツールを使い始める前に、競合の「何を知りたいのか」を明確にしておきましょう。主に以下の3つの視点を持つと、分析がスムーズに進みます。
- 集客戦略 (どうやってお客様を集めているか?)
自然検索 (SEO) が強いのか、Web広告やSNSに力を入れているのか。 - 人気コンテンツ (どんな情報で惹きつけているか?)
どのページに最もアクセスが集まっているのか。どんなキーワードで上位表示されているのか。 - サイトの基本情報 (サイトの健康状態は?)
サイトの構成はどうか。基本的なSEO対策は行われているか。
これらのポイントを押さえることで、競合の強みや弱みが見えてきて、自社がとるべき戦略のヒントが得られます。
無料で使える!競合分析ツール5選
1. SEOチェキ! (サイトの健康診断を瞬時に)
SEOチェキ!は、調査したいサイトのURLを入力するだけで、そのサイトの基本的なSEO状況を瞬時にチェックできる、非常にシンプルで人気の高いツールです。会員登録も不要で、誰でもすぐに利用できます。
こんな分析におすすめ
- 競合サイトの基本的なSEO対策状況の確認
- titleタグやh1タグなど、基本的な内部対策の調査
- 被リンク数やインデックス数の簡易的な把握
基本的な使い方
- サイトにアクセス: 「SEOチェキ!」の公式サイトを開きます。
- URLを入力: 上部の入力欄に、調査したい競合サイトのURLをコピー&ペーストします。
- 「チェック!」をクリック: これだけで、以下のような情報が一覧で表示されます。
- サイト情報:
title
,description
,h1
タグの内容、キーワードの出現頻度など、基本的な内部SEOの状況がわかります。競合がどんなキーワードを重視しているかのヒントになります。 - インデックス数: GoogleとYahoo!にどれくらいのページが登録されているかの目安です。サイトの規模感を把握できます。
- 被リンク数: 外部のサイトからどれだけリンクされているかの目安です。サイトの権威性(ドメインパワー)を測る参考になります。
- サイト情報:
活用ポイント: 気になる競合を複数チェックし、title
タグやh1
タグにどのようなキーワードを、どのような順番で入れているか比較するだけでも、多くの発見があります。例えば、競合の主力商品のページタイトルを参考に、自社の商品ページのタイトルを改善する、といった具体的なアクションに繋げましょう。
2. SimilarWeb (シミラーウェブ) (競合の集客戦略を丸裸に)
SimilarWebは、競合サイトのトラフィック(アクセス数)や、ユーザーがどこから来ているのか(流入チャネル)などを詳細に分析できるツールです。無料版でも非常に多くの情報が得られ、競合のマーケティング戦略を推測する上で欠かせません。
こんな分析におすすめ
- 競合サイトの推定アクセス数とユーザー属性の把握
- 流入チャネル(検索、SNS、広告など)の割合分析
- どんなサイトからユーザーが来ているか(参照元サイト)の調査
基本的な使い方
- サイトにアクセス: SimilarWebの公式サイトを開き、アカウント登録(無料)をします。
- URLを入力: 分析したい競合サイトのURLを入力します。
- データを確認: ダッシュボードに様々な分析結果が表示されます。
- トラフィック概要: 推定の訪問数や滞在時間、直帰率などが表示され、サイトの人気度を大まかに把握できます。
- 流入チャネル: 「検索」「ソーシャル」「ダイレクト(直接入力)」「リファラル(他サイトからのリンク)」「広告」など、どの経路からのアクセスが多いかが円グラフで表示されます。
- オーディエンス: 訪問ユーザーの国別割合や、興味関心(他にどんなサイトを見ているか)などがわかります。
活用ポイント: 流入チャネルの分析は特に重要です。例えば、競合の「ソーシャル」比率が高ければ、SNS運用が成功している可能性があります。どんなSNSから流入が多いのかをさらに深掘りし、そのアカウントを分析することで、効果的なSNS戦略のヒントが得られます。「競合はInstagramのリール動画に力を入れているから、自社でも試してみよう」といった具体的な施策に繋げられます。
3. Ubersuggest (ウーバーサジェスト) (競合の”稼ぎ頭”キーワードを発見)
Ubersuggestは、SEOの第一人者であるニール・パテル氏が提供するツールで、無料でも多くの機能が利用できます。特に、競合サイトがどのようなキーワードで検索流入を獲得しているかを調べるのに優れています。
こんな分析におすすめ
- 競合サイトの推定オーガニック流入数(検索エンジンからのアクセス)の把握
- 競合が上位表示されているキーワードの特定
- キーワードごとの推定流入数や検索順位の確認
活用ポイント: 競合サイトのURLを入力して「トラフィックが見込める上位SEOページ」をチェックしましょう。そこに表示されるのは、競合サイトの「稼ぎ頭」となっているページです。それらのページを見つけたら、『なぜこの記事は人気なのか?』という視点で内容を分析し、自社ならもっと網羅的で、もっと分かりやすいコンテンツが作れないか、企画のヒントにしましょう。
4. Googleトレンド & アラート (市場と競合の”話題性”をキャッチ)
Googleが提供する無料ツールも競合分析に非常に役立ちます。
- Googleトレンド: 指定したキーワードの検索インタレスト(人気度)の推移を時系列グラフで確認できます。競合のブランド名を入力すれば、そのブランドの知名度や話題性の推移を客観的に把握できます。
- Googleアラート: 競合のブランド名やサイト名を登録しておくと、そのキーワードを含む新しいWebページやニュースが公開された際にメールで通知してくれます。競合の新商品リリースやメディア掲載情報をリアルタイムで把握するのに便利です。
活用ポイント: Googleトレンドで複数の競合ブランド名を同時に比較することで、業界内での注目度の変遷や、季節による需要の変動などを掴むことができます。自社ブランドの立ち位置を確認するのに最適です。
5. SEMrush (セムラッシュ) (多機能ツールの実力を無料で体験)
SEMrushは、SEO、広告、SNSなど、デジタルマーケティング全般をカバーする非常に高機能なツールです。プロ御用達の有料ツールですが、メールアドレスを登録するだけで使える無料版でも、機能制限付きで競合分析が可能です。
こんな分析におすすめ
- 競合サイトの被リンク元(どこからリンクされているか)の調査
- 競合が出稿している広告のキーワードや広告文の分析
- 特定のキーワードにおける競合ページの強さの分析
活用ポイント: 無料版では1日に分析できる回数に制限がありますが、特に強力な競合1〜2社に絞り、そのサイトがどのようなサイトからリンクを獲得しているかを調べてみましょう。質の高いリンクを受けている場合、そのリンク元サイトは業界内で影響力のあるメディアである可能性が高く、自社の広報・PR戦略を立てる上で非常に重要な参考情報となります。
まとめ:目的に合わせてツールを使い分けよう
今回ご紹介した5つのツールは、それぞれ得意な分析領域が異なります。
- サイトの健康診断を手軽にしたい → SEOチェキ!
- 競合の集客全体像を把握したい → SimilarWeb
- 競合のSEO戦略や人気コンテンツを知りたい → Ubersuggest
- 世の中の話題性を追いたい → Googleトレンド & アラート
- より専門的なデータを少しだけ見たい → SEMrush(無料版)
これらのツールは、あくまであなたの戦略立案を助けるためのものです。ツールで得られたデータを元に、「なぜ競合はこの戦略をとっているのか?」「自社の強みを活かせる市場の穴はどこか?」と仮説を立て、自サイトの改善に繋げていくことが最も重要です。まずは気になる競合を1社選び、これらの無料ツールで分析を始めてみましょう。
コメント