ECサイトのコンセプトが固まり、データに基づいたビジネスモデルも完成しました。いよいよ、その事業計画を実現するための「器」となるプラットフォームを選ぶ段階です。この選択は、一度決めるとなかなか変更できない、ECサイトの土台となる非常に重要な決定です。
Shopify、BASE、MakeShop…世の中には多くのECカートシステムが存在しますが、どのプラットフォームを選ぶべきか、決めかねてはいませんか?デザインや手数料だけで選ぶ時代は終わりました。これからのECサイトの成否は、プラットフォームが持つ「AI対応力」で決まります。
シリーズ第8回は、主要なECカートシステムを「AI機能」という新しい軸で徹底比較し、あなたのビジネスに最適なプラットフォームを見つけ出すための選び方を解説します。将来の成長を見据えた、後悔しないパートナー選びを始めましょう。
ECカート選びで重要なAI機能
プラットフォームを比較する前に、まずどのようなAI機能が重要になるのかを理解しておく必要があります。ECサイト運営におけるAIの役割は、大きく3つに分類できます。
① 集客・販促を自動化するAI
SEO対策を支援するキーワード提案、顧客に合わせた広告の自動最適化、効果的なクーポンの発行タイミングの提案など、新規顧客の獲得や販売促進を効率化する機能です。
② 接客・追客を高度化するAI
顧客一人ひとりに合わせた商品を提案するレコメンド機能、24時間対応のAIチャットボット、カゴ落ちした顧客への自動フォローメールなど、顧客体験と転換率を高める機能です。
③ 分析・改善を効率化するAI
売上データや顧客行動をAIが分析し、改善点をレポートしてくれる機能です。どの商品が一緒に買われやすいか(バスケット分析)や、優良顧客の育成プランなどを自動で提案してくれます。
主要3大ECカートのAI機能比較
それでは、国内で人気の主要なECカートシステムが、どのようなAI機能を持ち、どんな事業者に向いているのかを比較していきましょう。
Shopify:豊富なアプリ連携
世界No.1シェアを誇るShopifyは、本体の機能に加えて「Shopify App Store」にある豊富なアプリで機能を拡張できるのが最大の特徴です。高度なAIレコメンドやCRM、広告最適化ツールなど、世界中の最新AIアプリを組み合わせ、自社に最適な環境を構築できます。越境ECや大規模なカスタマイズを目指す事業者におすすめです。
BASE:手軽に導入できるAI
「ネットでお店を開くなら」のCMでおなじみのBASEは、初期費用・月額費用無料で始められる手軽さが魅力です。AI活用も、初心者でも簡単に使える販促支援系の公式アプリが中心です。まずはコストを抑えてECを始め、AIによるデータ分析の第一歩を踏み出してみたい個人事業主やスモールビジネスに最適です。
MakeShop:充実の標準機能
国内で11,000店以上の導入実績を持つMakeShopは、日本の商習慣に合わせた機能が標準で充実している点が強みです。近年ではAIを活用した機能も強化されており、標準機能として搭載された「MakeShop AI」が販売戦略を提案してくれます。手厚いサポートを重視し、一つの環境でEC運営を完結させたい中規模以上の事業者に向いています。
失敗しないカート選びの3原則
数ある選択肢の中から、自社にとって最適なECカートシステムを選ぶためには、以下の3つの原則を忘れないでください。
① 事業フェーズに合わせる
立ち上げ期なのか、成長期なのか、自社の現在の事業フェーズを客観的に見極めましょう。初期はコストを抑えて始め、事業の成長に合わせて機能を追加・移行できるプラットフォームを選ぶのが賢明です。
② 拡張性と将来性を見る
今は必要なくても、将来的には外部の販売管理システムやMAツールとの連携、越境EC対応などが必要になるかもしれません。プラットフォームの拡張性や、今後の機能追加のロードマップを確認しておくことが重要です。
③ サポート体制を確認する
問題が発生した際に、迅速で的確なサポートを受けられるかは非常に重要です。電話やメールでのサポートはもちろん、使い方を学べるセミナーや情報交換ができるコミュニティの有無なども確認しておきましょう。
まとめ:最適なパートナーを選ぶ
ECカートシステムは、単なる「お店の箱」ではなく、事業の成長を共に歩む「ビジネスパートナー」です。そして、そのパートナーがどれだけ優秀なAIという頭脳を持っているかが、今後のEC戦線を勝ち抜く鍵となります。
今回ご紹介した比較軸と3つの原則を参考に、あなたのビジネスに最適なパートナーを選び出してください。最高の土台が手に入れば、いよいよサイトの構築が始まります。
次回の記事からは、制作・開発編に突入します。まずは、ECサイトの顔となるロゴやバナーをAIで自動生成する最新ツールについて詳しく解説していきます。
コメント